はじめに
前回はケンブリッジ大学クライスツ・カレッジについて、簡単にその歴史を振り返りました。
チャールズ・ダーウィンをはじめ非常に優れた学者を卒業生にもつ、世界的にも重要な大学である事がお分かり頂けたかと思います。
今回はそんなクライスツ・カレッジで発生した赤錆問題とその解決のために導入されたNMRパイプテクター®について詳しく見ていきたいと思います
クライスツ・カレッジの状況
クライスツ・カレッジのトッド棟では、空調温水配管内部の赤錆対策として2013年にNMRパイプテクター®が導入されます。
実はそれまでにも赤錆問題を解決するためにいくつかの対策が行われていました。
例えば2008年には配管に犠牲電極の設置が行われています。
犠牲電極は、配管の主な素材である鉄よりもイオン化傾向の大きい(≒サビやすい)金属であるアルミニウム、亜鉛、マグネシウムなどでできています。
その電極を配管内部で接続すると、鉄の代わりにそれらの金属が溶け出し鉄の酸化を防止するという仕組みです。
しかしながら、クライスツ・カレッジの空調温水配管では、犠牲電極の効果はほとんど見られず、赤錆の進行は止まりませんでした。
またその他には防錆剤の投与が年に一度行われていました。
しかし、防錆剤の使用前後で水中の鉄分値に変化はなく、それどころか防錆剤の人体への影響を懸念する声も挙がり、クライスツ・カレッジとしては一刻も早く防錆剤に替わる赤錆対策を打つ必要がありました。
NMRパイプテクター®-NMRPT-の導入
そこで選ばれたのがNMRパイプテクター®でした。
NMRパイプテクター®は英国での導入実績も豊富で、2007年にはバッキンガム宮殿にも導入され、赤錆問題を見事解決しています。
そういった確かな実績が買われ、クライスツ・カレッジでの導入も決まったのでしょう。
NMRパイプテクター®-NMRPT-の設置方法
NMRパイプテクター®とはどういった装置でしょうか。
詳しく見ていきたいと思います。
NMRパイプテクター®は配管の外側に設置するだけで配管内部の赤錆の発生を防止します。
基本的には配管一系統につき、ひとつ装置を設置すれば十分で、その防錆効果は一般的な給水管であれば150メートルほど持続します。
そのため設置に伴う工事は非常に小規模で断水の必要もありません。
NMRパイプテクター®-NMRPT-が赤錆を防止する仕組み
NMRパイプテクター®は導入の際に、配管洗浄などを必要としません。何故なら既存の赤錆を利用して配管を強化するからです。
NMRパイプテクター®は特定の電磁波を発する事で配管内を流れる水にNMR(磁気共鳴)を引き起こします。
そしてNMR共鳴効果と水の運動エネルギーにより、剥離放電した水和電子(水分子の自由電子)の働きによって、すでに配管内部で発生してしまった赤錆は黒錆に還元されます。
黒錆は非常に安定した強固な物質ですので、赤錆と違って水に溶け出すこともなく、黒錆の皮膜は鉄素地を赤錆から守ります。
加えて黒錆の体積は赤錆の1/10ほどですので、赤錆の堆積によって引き起こされる赤錆閉塞なども改善されます。
このように、NMRパイプテクター®は配管内部で既に発生・堆積してしまった赤錆を黒錆に変えることで配管の更生を実現しています。
次回はNMRパイプテクター®を導入したことによって、クライスツ・カレッジ・トッド棟の赤錆問題はどれだけ改善したのか、その詳細を見ていきます。