大英博物館の問題点
このようなイギリス・ロンドンを代表する建造物の大英博物館ですが、大英博物館には建物の配管設備などに関していくつかの問題点があります。
代表的な問題点について解説します。
前述したとおり大英博物館は1753年に設立され、内部は改築や増築をしているところもあるものの設立当初からそのまま使われているところもあり、老朽化が問題となっています。
特に表からは見えない配管設備などの裏側の設備に関しては、補修や改築などが行われていたとしても数十年前であったりするようなこともあり、古くなったまま使われているようなところもあるのです。
配管は老朽化すると錆びついてしまい、最悪の場合には壊れて水漏れを引き起こしてしまうようなことにもなります。
そのようなリスクがある場所が、大英博物館には数多く存在していたのです。
配管の赤錆による収蔵品への影響
配管の錆で問題になるのは、配管の腐食・破損が進んでしまう「赤錆」です。
赤錆が出てしまうと「赤水」が発生してしまったり、最悪の場合には配管が壊れたりすることがあります。
世界各国の貴重な収蔵品を数多く抱えている大英博物館では、そもそも配管の赤錆による収蔵品の保存状態への影響は最小限にしておきたいところです。
さらに配管が壊れて水が漏れるようなことがあれば、収蔵品へのダメージもさらに大きなものになってしまいます。
貴重な収蔵品を守り、より良い保存状態で今後も収蔵品を展示していくためにも、配管の老朽化・赤錆による被害は食い止めなければならなかったのです。
NMRパイプテクター®以外の選択肢と比較
大英博物館の配管を守るために、NMRパイプテクター®は大きな役割を果たしています。
では具体的に、大英博物館ではどのような流れでNMRパイプテクター®を導入したのでしょうか。
実は配管を守り、老朽化を食い止めるための手段はNMRパイプテクター®以外にも考えられました。
以下の2つが、NMRパイプテクター®以外の選択肢として挙げられます。
- 配管の段階的な取り替え工事
- バイパス管フィルタリングシステムの導入
配管の段階的な取り替え工事は配管自体を新しくするため効果的ではありますが、取り替える工事の間に長期間の断水状態が生じてしまうというデメリットがあります。
大英博物館にはレストランなども併設されているため、観光客への打撃も大きなものとなるでしょう。
また費用に関しても、NMRパイプテクター®よりも割高になってしまうというデメリットがあります。
バイパス管フィルタリングシステムとは、将来的に赤錆を発生させにくいように配管に逆浸透膜を追加したフィルターを設置するものです。
これは既存の赤錆に対しては直接的な効果がないため、まずは沈殿している赤錆を除去するための薬品を配管に投与する必要があります。
しかし薬品の投与は展示物への影響が考えられるため、博物館側からは許可されていません。
加えて工事期間中に漏水の発生がある、すでに脆くなっている配管には効果がない、莫大なメンテナンスコストがかかるなどのデメリットもあります。
こうした他の選択肢に比べると、NMRパイプテクター®はコスト面、博物館の運営上における影響面などにおいてベストな選択肢であったために、大英博物館に導入されることとなったのです。