はじめに
日本はかつて、高度成長期からバブル期にかけて、オフィスビル、病院、マンションなどを次々と建設しました。
そのため現在では、急速に建物の経年劣化が進み問題となっています。
建物本体は、適切なメンテナンスを施せば、まだまだ使用していくことは可能でしょう。
しかし、給排水や空調冷温水に欠かせない配管への対策は難しく、建物本体の寿命は50年以上とされるのに対して、配管の寿命は20年程度といわれています。
そんな中、日本システム企画が開発した「NMRパイプテクター®」が注目されています。
NMRパイプテクター®は大規模な工事が必要なく、配管の外側に設置するだけで配管の劣化を防止できるため、画期的だと評されています。
NMRパイプテクター®について、TOKYO MXのビジネス番組「企業魂」で詳しく取り上げられましたので、本連載ではその内容をご紹介します。
日本システム企画株式会社
NMRパイプテクター®を開発した日本システム企画株式会社は、現在日本に9拠点、イギリスとアメリカにも拠点を構え、日本だけでなく世界のニーズにも応えています。
会社を設立した熊野社長は、幼少時から防錆に強い関心があり、小学3年生の時に、ガラス瓶に水と錆びた釘を入れて乾電池で錆をとめる実験をしていたほどでした。
熊野社長のそういった研究者としての素養が存分に発揮され、NMRパイプテクター®は誕生したのです。そして、1996年7月より販売がスタートしました。
赤錆がもたらすトラブル
水道の蛇口から流れてくる水が赤く濁っていた経験はありませんか。
これは配管の鉄が配管内の水と酸素によって反応し、赤錆が発生したためです。
赤錆は水に溶けやすいため、水が濁る・臭いがするなどのトラブルの原因となります。
上記のような赤水の発生だけではなく、配管閉塞や、配管を結合しているねじ山の脱落による漏水など、赤錆を放置すると腐食が進み、様々なトラブルが生じる可能性があります。
従来の赤錆対策が抱える課題
赤錆対策として、「配管のライニング工事(更生工事)」と「配管の更新工事(取替え工事)」がよく知られています。
ライニング工事とは、今ある配管の内側を研磨洗浄し、特殊な樹脂で配管内をコーティングする工事です。
しかし、研磨の際に配管自体が傷つき劣化するなどの欠点があり、7~10年程であらためて配管更新工事を行う必要があります。
配管更新工事は、配管を新品のものと交換する工事です。
大規模な工事が必要なため、かかるコストも膨大です。
また、ライニング工事、更新工事いずれの場合も、工事中は断水の必要があるため、建物の利用者には大変な不便を強いる事になります。
画期的な赤錆防止装置「NMRパイプテクター®」
一方で、NMRパイプテクター®の場合、装置を配管の外側に取り付けるだけで工事は完了し、赤錆にまつわる様々な問題を解決する事ができます。
NMRパイプテクター®の優れた点を整理すると以下の3つが挙げられます。
1.赤錆問題を抜本的に解決する事ができる。
2.コストパフォーマンスに優れている。
3.設置工事が小規模である。(断水の必要なし)
NMRパイプテクター®の優れた機能
NMRパイプテクター®は赤錆を黒錆に変化させる機能を持ちます。
水の凝集体を小さくし水の自由電子を利用することで、配管内の赤錆を黒錆に還元するのです。
新たな赤錆の発生を抑えつつ、既存の赤錆を黒錆に還元し配管自体を強化します。
黒錆の驚くべき効果
先にもお話し致しましたが、赤錆は水に溶けやすいため水を濁らせ、また体積も大きく赤錆閉塞といわれるような配管の詰まりを引き起こします。
一方で、黒錆は水に溶けず、体積は赤錆の10分の1以下の非常に堅い物質です。
黒錆は鉄の表面に緻密な皮膜を形成し、鉄を腐食する赤錆から守ります。
古来より錆止めとして使われており、現在も南部鉄瓶や中華鍋などの鉄のコーティングに使用されているのです。
NMRパイプテクター®は黒錆のもつそういった利点を活かし、配管の延命を実現しているのです。
以上、配管内の赤錆による問題とそれを解決するNMRパイプテクター®についてお話ししました。
次回はNMRパイプテクター®を導入した事例をご紹介します。